新しい世紀末を謳う「鳥毛将宏展」後記


























 昨年末、画廊がいつもにも増して暇になる時期なので、遊び心から鳥毛作品を並べてみたことがある。正面の壁に「憩」20号を挟んで右に鳥海青児の名作「アルジェリー広場」、左に「木による人」4号。大家の作品を横に従え一歩も引けを取らない堂々たる風格を備えた鳥毛の絵は、耳に心地よいバロック音楽と共に舞聊(ぶりょう)を慰める以上の効果をもたらしてくれた。その頃から個展開催の時期を探っていたのだが、目まぐるしく展開し変貌する鳥毛作品の振幅故、今日まで機を逸してきた。その間当惑に近い感情を直に作者にぶっつけたこともあるし、自分の鑑識眼に疑いを抱いたこともある。そして普通の新進作家の個展なら1枚の写真を載せた案内葉書で事足りるところを、都毛の作品はそれを許してくれなかった。ほんの1年余りの間に描かれた作品群を、回顧展の形式にして紹介せざるを得ない程、彼の絵は変貌して来た。図録に掲載する事が出来なかったが、実に様々な技法上のトライアルを繰り返して来たものだ。

 鳥け将宏の絵を見て、その年齢を知って、人々は将来性ありと言うだろう。しかし、正直言って私は、この人の将来をどうこう言う自信はない。5年後、10年後を考える事は到底できない。破滅へ進むのか、栄光への階段を登るのか、はたまた静かに画壇から消え去るのか、神のみが知る事であろう。私の出来る事は、鳥毛将宏の今日を温かく見守ることだけである。

星野 桂三


























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