意識の向こう側「鳥毛将宏1989年展」後記



































 速いもので鳥毛将宏の展覧会が3回目を迎える。2年前の最初の個展で彼の20〜21才の作品を並べ、昨年は22才の1年間を回顧した。今回は満23才の1年間に描き上げられた60点余の作品の中から、30余点を展観することにした。

 去年の個展では、模倣だ人真似だという口のうるさい方々からの指摘には、今は勉強中やからこれでよろしいのや、と言い張りはしたが、あっちへ行ったりこっちへ来たりする彼の画風の変遷には、私自身、正直多少イライラもしていたのである。それでもなお私はマチエールや技法を盗む彼の画作が一段落した時、その時には、20才の頃にあった鳥毛将宏の心の風景が表出して来るに違いないと、ほのかな期待を抱き続けてきた。

 今度の展覧会のテーマになっいるT意識の向こう側″は、1986年の夏には既に画家の心に芽生えていたものである。描きたくても思いどおりに描けない技術上のもどかしさが、ここ数年彼の画作の上でのブレになっていたものと私は思う。

 試行錯誤の末に出来上がったのが1年前の「意識の向こう側・彼岸」であった。素晴らしい作品で文句のつけようのないものであった。しかし、あまりにも頑固なマチエールの為大作には不向き、もっと研究するようにと私が与えた宿題が、この若い画家を再び四苦八苦させることになってっしまった。
 その苦闘の結果は...
ご覧頂きたい、これが鳥毛将宏が描きたかった世界なのであろう。

 今後の展開がますます楽しみになってきた。

星野桂三・星野万美子





































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