「国 画 創 作 協 会 の 画 家 た ち」展後記 | ||
ー新樹社創立会員を中心にしてー | ||
2005(平成17)年5月3日(祝)〜5月29日(日) 10:30AM〜6:00PM (月曜定休) |
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後 記 |
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左から |
当時のスナップ−2 |
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それからの年月は小走りに過ぎ去った。時代はバブル経済の頂点を上り詰めてすぐに転び落ちた。その後の大不況の中を抜け出す気配さえ私たちには見えない。あれほど活発だった各地の美術館活動も停滞し、近頃耳にする言葉は、美術館や博物館の「指定管理者制度」である。これは、公立美術館を経済的にペイできるものにするかどうかだけの狭い視野に立つ、情けない動きである。元来、美術館活動により採算を考え合わすことは、「ある程度」という冠詞をつけてのみ有効なものであるはずだ。文化活動の重要な部分を支える美術館/博物館活動が、納税者に対するささやかな還元方式であることを忘れてはならないと思う。文化とは金とは無縁のもの、また金では購えない重要な人間活動であることを忘れてはならない。長い年月をかけて蓄積した様々な形で残る文化遺産は、一度失うと再生する事は不可能となる。過去の文化遺産を研究し後世に引継ぐ重要な役目を美術館や博物館が担う。それは近代や現代のものを対象としても続けていかなければならず、研究活動は歴史の一環として不可欠な要素を構成するものだ。 |
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「国展から新樹社へ」展を開催した後も引き続き、私どもの画廊の主要な活動として、大正期の日本画作品の発掘に没頭してきている。基礎資料の国画創作協会展図録のほとんどを極く初期に入手できたのが大いに手助けになり、画廊活動で発掘できた国展出品作は、森谷南人子「快晴」(第1回展)、山口草平「静寂」(第2回展)、岡本神草「拳を打てる3人の舞妓の習作」(第3回展)、榊原始更「路」(第3回展)、粥川伸二「妖影」(第4回展)、徳力富吉郎「人形」(第6回展)、杉田勇次郎「麓庵」(第6回展)、多田敬一「黄昏」(第6回展)、小松均「八瀬」(第7回展)などである。 |
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こうして記述してみると、やはりマイナーな作家ばかりで勝負してきていることが分かる。しかしそのマイナーとされる画家の作品を、先入観抜きで展示し直してみると、メジャーとそん色ないどころか、かえって目立つことにもなり、観者に極めて強い印象を与えることもあるから美術の世界は面白いのだ。それがささやかであっても我流の画廊を経営する醍醐味であり、忘れられた画家たちを発掘するためのエネルギー源にもなるのである。 |
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現在愛知県美術館で愛知万博記念展示として開催中(5月8日まで)の「自然をめぐる千年の旅、山水から風景へ」展会場で、思いがけず榊原始更「路」に出会うことができた。国展関係ではないが、不染鉄「南海の図」はとりわけ異彩を放っていた。国宝、重文作品がぞろぞろと並ぶ会場で、両作品ともいささかの見劣りもせず、かえってその存在感を示しているように感じたのは、私たちの身びいきだけではないと思う。同じように嬉しかったことがもうひとつある。昨秋、福島県立美術館開館20周年記念展「田園の夢」という素晴らしい企画展に、秦テルヲ「瓶原の春」と「南瓜と茄子」が出品された。村上華岳ら巨匠たちの作品と肩を並べて、秦テルヲが一歩もひけをとらないことが証明された。その秦テルヲの異才ぶりを改めて思い起こす好機になるのが、現在京都国立近代美術館で開催中の村上華岳展である。華岳が密室に隠り、ひたすら追い求めた宗教心溢れる美の世界と、我がテルヲの社会の底辺に身を投げ出すことから始まり、自然と向き合う事で会得した彼なりの宗教心に基づき描いた美の世界とを、好対照として比較してしまうのである。皆様方はいかが思われるでしょうか。巨匠の作品にはオークションで千万単位、億単位の値がつき、孤高の画家テルヲがオークションに登場することもない。 |
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余談になるが、尼崎市総合文化センターの設立30周年記念事業として、「桜井忠剛と関西洋画の先駆者たち」展が今年5月14日から6月5日まで開催される。関西洋画の黎明期の作家で初代尼崎市長でもある桜井忠剛が、まとまって紹介されるのは今回が初めてだ。同展には画廊所蔵の桜井作品21点と、同時代の洋画家作品21点の出品協力をしている。7月には私どもの画廊でそれらによる桜井忠剛遺作展を開催する予定。ただし今回は展覧会図録を作成せず、尼崎市の図録を代用させていただくことになる。その後、8月〜9月にかけて滋賀県立近代美術館(佐倉市美術館巡回)で開催される黒田重太郎遺作展がある。こちらへもかなりの作品の出品要請があるだろうから、あれこれと忙しい日々が続くだろう。 |
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