星野画廊【展示のご案内】

明治・大正・昭和名作発掘品展
〜ヴェニス風景を中心にして〜

会期:2025年3月1日(土)〜3月22日(土)
10:30AM~6:00PM(日・月曜休廊)

展示概要

星野画廊では、年数回開催する企画展とは別に、日常の画廊展示を「明治・大正・昭和名作発掘品展」と名付け、魅力的な洋画と日本画作品を画廊の壁面いっぱいに並べています。今春の展示では、京都文化博物館にて開催中の「カナレットとヴェネツィアの輝き」展に合せた作品を選び出しました。まず明治4年に徳川家の給費留学生として渡米後イタリアで画技を磨いた川村清雄(1852〜1934)の名作《ヴェニスの舟商人》は、本格的な油画技法で描かれて完成度が高く、彼の初期名作と称せられるべきものです。桃山期の訪欧使節団のベニス歓迎風景が代表作の寺崎武男(1884〜1967)のテンペラ画や、京都出身の澤部清五郎(1884〜1964)がパリ留学時代に描いた情感溢れるヴェニスの光景(1912年)。その他、1921年に渡欧した里見勝蔵(1895〜1981)がフランスでヴラマンクに出会い描いたフォーヴ調の風景画もあります。

春の息吹を描いた名作として挙げられるのが霜鳥之彦(1884〜1982)の《桃の花》と題された作品。モデルは帝展出品作《午后のお茶》に描かれた霜鳥のお孫さん。当時描いた絵に晩年の霜鳥が手を入れて個展で発表した愛すべき作品です。霜鳥がパリ留学時に師事したシャルル・ゲラン(の描いた《ライラックの花》は、1926(大正15)年東京府美術館で開催された第4回仏蘭西現代美術展覧会に招聘された名作。

こうした時節の絵画作品のみならず、秦テルヲの仏画や岡本神草の珍しい《梅に鷹図》の軸装画などに加え、不染鉄や藤田龍児、甲斐荘楠音の素描画も数多く陳列しています。どうぞお気軽にお立ち寄りください。

展示作品(一部抜粋)


川村清雄《ヴェニスの舟商人》
明治前期頃 板に油彩6号

寺崎武男《ヴェニス風景》
キャンバスにテンペラ 8号

澤部清五郎「ヴェニス」
1913年

霜鳥之彦《桃の花》
1929(昭和4)年 油彩12号

展示の模様