星野画廊で開催した主な展覧会─80

京都洋画の開祖にして真言宗の画僧
月樵道人・田村宗立

2009(平成21)年 6月20日(土)〜7月19日(日)

 

没後90年、その日本画(仏画・布袋唐子・吉祥図)の魅力を探る
 京都洋画の開祖である田村宗立(1846〜1918)には、真言密教の画僧として雅号「月樵」で描いた洒脱な仏画の数々がある。現在京都国立近代美術館で開催中の「前衛都市、モダニズムの京都展」は、1895年の第4回内国勧業博覧会の開催と平安神宮建立を起点として京都の近代化の様相を様々な角度から俯瞰する異色の展観である。同展では田村宗立の作品も脚光を浴びている。
 当画廊では宗立没後90年を記念して、この30年間に蒐集した約90点の日本画を披露することにより。余り知られていない画僧としての側面を紹介する。(会期中の前半/後半で大幅な展示替。作品は展示即売)

「四睡図」
1914(大正3)年
116.8×41.9 cm
絹本彩色/軸装

「白衣観音図」
1899(明治32)年
165.0×84.1 m
紙本墨画/軸装

「観音大座像」
(竹田黙雷賛)
111.2×40.8 cm
絹本彩色/軸装


「遊戯三昧之図」1915(大正4)年
31.8×55.5 cm 絹本彩色/軸装

「布袋唐子図」1898(明治31)年  110.0×40.5 cm 絹本彩色/軸装

「風神雷神図」1904(明治37)年   33.3×132.0 cm 紙本彩色/扁額

出品作品
観音図 達磨・羅漢図 布袋唐子など吉祥図 中国故事、風景、肖像画、その他

記念図録  B5版 72頁(図版96点フルカラー) 頒価:1500円


田村宗立(たむらそうりゅう)略年譜
1846 京都府船井郡(現南丹市園部町船岡)に生まれる。字を十方、
    後に十方明、有安乞士、月樵とも号する。
1856 六角堂頂宝寺塔頭能満院の大願和尚のもとで得度し、仏画を学
    ぶ。僧名宗立を受ける。
1872 粟田口病院に通訳兼画工として勤務し、ドイツ人医師ランケッ
    クに油絵を学ぶ。
1875 横浜でチャールズ・ワーグマンに教えを受ける。高橋由一、
    五姓田義松、山本芳翠らと交遊。
1877 第1回内国勧業博覧会に<下賀茂社頭図>を出品し褒状を受
    ける。
1880 第9回京都博覧会に<茶摘之図>(油絵)を出品し、褒状を
    受ける。
1881 第2回内国勧業博覧会に油絵4点(山水図、人物、果物、人
    物)を出品する。
1889 4年間の難工事の末に琵琶湖疏水が開通。同工事の様子を描
    いた絵を描く。
1890 京都美術博覧会で<婦人図>が二等銀牌を受賞。祇園下河原
    月見町に画塾「明治画学館」を設立。
1895 第4回内国勧業博覧会が岡崎公園で開催、威海衛パノラマ館
    のために<威海衛海陸戦争図>を描く。
1901 西洋画の社会的普及と研究を目的とする「関西美術会」に発
    起人として参画し、委員となる。
1906 浅井忠、伊藤快彦、桜井忠剛らと共に「関西美術院」を創立
    する。
1918 7月10日没。享年73。真言宗高野派弘仁山蓮光院に葬られる。
    法名、恣徳院仙翁宗立居士。
   後に建仁寺に改葬され、建仁寺大方丈の後庭に生前に愛用した
    大硯が田村宗立碑として建立される。


  「後   記」……………………………………………… 星野 桂三


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