ー素顔それとも虚構― 生かされた女性美

と き  11月22日(金)〜12月22日(日)
ところ 星野画廊(休廊日:毎週火曜日) 
10:30AM〜6:00PM
京都市東山区神宮道三条上る TEL.075-771-3670


 甲斐庄楠音「如月太夫」(部分)

 美しい女性を描いた「美人画」が人々の注目を集め、全国で幾多の美人画展が開催されてきた。西洋美術の範疇に「美人画」はなく、江戸期の浮世絵に端を発する美人画は日本独自のものらしい。明治以降、洋画の世界でも美人画は多く描かれたが,とりわけ日本画の分野では重要な位置を占める。巷の美術館や百貨店催事でも美人画展の人気は留まるところがないようだ。いずれも「上村松園…」とか「鏑木清方…」、「美人画の四季」や「近代日本美人画展」などの表題のある展覧会だ。興行的にはそれで多くの観客が見込めるからだろうが、少々食傷気味の人もいるのではないだろうか。
 当画廊においても過去に2度、同じ趣旨の展覧会「明治・大正・昭和−美人画コレクション展」(2001=平成13年)と「〜京阪神〜女流画家の競艶」展(2004=平成16年)を開催している。ところがいつも“美人”という表現が気になって仕方がなかった。女性の美しさを表現する場合に、美人・美女という言葉だけで括ることに違和感があるのは否めないのだ。
 本展で展観する予定の作品は全てが日本画であるが、美人画の著名作家のものは数少ない。多くを過去美術史の陰の部分に葬り去られてきた、無名画家たちの作品が占めている。中には近年研究が進み、各地の美術館での企画展で取り上げられて脚光を浴びてきた画家の作品もあるが、未だにどのような経歴の持ち主か分からない画家も多い。そうした作家の作品にも陽を当てて一堂に展観し、女性たちの美しさがどのように絵に生かされてきたかを顕彰してみたいのである。


展覧会図録:B5判 頒価1500円(出品作品全68点掲載)

生かされた女性美 素顔それとも虚構― ……………星野万美子


松本武雄「紅葉狩り」部分 松本武雄「少女之図」顔 部分 佐治大輔「楊貴妃」部分
  
石井金陵「龍上の美女」部分 和気春光「初夏美人」部分
島成園「きぬた」部分 甲斐庄楠音「如月太夫」部分 平山成翠「憶い」部分
鈴木潮司「楽屋の女」部分 岡本大更「京の町へ」部分 緒方文年「女」部分
木谷千種「花見茶屋」部分 山川秀峰「汐汲み」部分 岡本成薫「コンパクト」部分

 


−素顔それとも虚構― 生かされた女性美図録掲載作品
No 作 者 題 名 制作年
1 富山■女 「麗春芸妓」 1884(明治17)年
2 作者不詳(金陵 ) 「龍上美人図」 明治後期頃
3 菊池素空 「羅浮仙女」 明治後期頃
4 岡田幽明 「鸚鵡」 大正前期頃
5 岡本大更 「京の町へ」 1916(大正5)年
6 小川千甕 「白川女」 明治末期頃
7 三宅凰白 「白川女」 1921(大正10)年
8 寺崎広業 「夏の昼下がり」 明治末期頃
9 佐治大輔 「楊貴妃」 大正後期頃
10 作者不詳(柳江) 「夏苑の少女」 大正期頃
11 伊藤芳明 「花園の少女」 大正期頃
12 作者不詳(龍山) 「日傘の少女」 大正末〜昭和初期頃
13 作者不詳(東汀) 「桑つむ少女」 大正期頃
14 作者不詳 「想い」 大正末期頃
15 作者不詳(左伊) 「願いの糸」 1914(大正3)年頃
16 緒方文年 「女」 1915(大正4)年頃
17 平山成翠 「憶い」 大正後期頃
18 島 成園 「母」 昭和初期頃
19 島 成園 「虫の音」 大正中期頃
20 島 成園 「折り鶴」 昭和初期頃
21 島 成園 「きぬた」 大正前期頃
22 岡本成薫 「コンパクト」 昭和前期頃
23 岡本神草 「拳の舞妓」 1922(大正11)年頃
24 若松 緑 「少女」 昭和初期頃
25 甲斐庄楠音 「畜生塚の女」 1919(大正8)年頃
26 甲斐庄楠音 「如月太夫」 1935(昭和10)年頃
27 甲斐庄楠音 「舞妓」 不詳
28 甲斐庄楠音 「舞妓」 不詳
29 秦 テルヲ 「瓶原母子像」 1923(大正12)年頃
30 秦 テルヲ 「恵まれしもの」 1923(大正12)年頃
31 秦 テルヲ 「吉原の女」 大正前期頃
32 秦 テルヲ 「山村の娘」 1921(大正10)年頃
33 玉村方久斗 「愁思」 1925-27(大正14-昭和2)年
34 (伝)増原宗一 「舞妓」 大正前期頃
35 谷角日沙春 「美人立ち姿」 大正後期頃
36 谷角日沙春 「行香」 昭和初期頃
37 島 成園 「夏美人図」 大正末〜昭和初期頃
38 林 司馬 「保多留」 1941(昭和16)年頃
39 林 司馬 「追い羽根」 1941(昭和16)年頃
40 林 司馬 「若葉の頃」 1950(昭和25)年頃
41 堀井香坡 「百萬」 1928(昭和3)年頃
42 松岡政信 「花冷え」 不詳
43 岡本大更 「観桜図」 大正期
44 松村梅叟 「花見美人図」 大正後期頃
45 木谷千種 「花見茶屋」 大正中期頃
46 和田三造 「休息の美人図」 昭和初期頃
47 三宅凰白 「花容」 昭和初期頃
48 中村貞以 「垣間見」 昭和前期頃
49 松本武雄 「少女の図」

第4回菊池塾展
1928(昭和3)年

50 和気春光 「初夏美人」 大正期頃
51 渡辺幾春 「涼宵」 大正末期頃
52 西村更華(陀宙) 「浴後」 昭和前期頃
53 柴田春光 「水浴裸女」 制作年不詳
54 作者不詳(数馬) 「窓辺御簾美人」 昭和前期頃
55 鈴木潮司 「楽屋の女」 大正末期頃
56 岡本大更 「倣彦根屏風美人之図」 1918(大正7)年
57 岡本大更 「魯生女之図(倣鳳山)」 1940(昭和15)年
58 作者不詳(誠一郎) 「蛍」 大正末〜昭和初期頃
59 山川秀峰 「汐汲み」 昭和前期頃
60 作者不詳(春山) 「浮き人形の図」 1930(昭和5)年
61 岡本大更 「初秋」 大正中期頃
62 松本武雄 「紅葉狩」 昭和初期頃
63 高橋史光 「紅葉美人図」 昭和初期頃
64 紅葉谷紫陽 「汐汲み」 大正期頃
65 堀井香坡 「紅葉狩」 昭和初年頃
66 不動立山 「春日遅々」 1929(昭和4)年
67 甲斐庄楠音 「舞妓」 1932-35(昭和7-10)頃

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