星野画廊で開催した主な展覧会─82

特別展 ここに人間の生の証しがある
 群 像 の 楽 し み 方

と き  9月11日(土)〜10月11日(日)             
   ところ 星 野 画 廊 10:30AM〜6:00PM(毎月曜・第1日曜休廊)
京都市東山区神宮道三条上る TEL.075-771-3670

 

展覧会趣旨

野長瀬晩花 「戦へる人」 1916(大正5)年 (6曲屏風)
 大正5年(1916)に野長瀬晩花(1889-1964)が徳永鶴泉との二人展で発表した問題作<戦へる人>は、晩花が秦テルヲとふたりで京都の美術界に旋風を吹き込んでいた頃の代表作である。それまでの日本画で本作のような群像作品は描かれたことはない。その後も終戦後に丸木位里が<原爆の図>に取り組むまで描かれたことはない。六曲屏風一杯に争い戦う人間の群れが力強い墨線と押さえた色彩で描かれているが、観る者の魂を揺り動かす絵画というものはこのような絵を指すのだろう。かつて新発見され話題となった甲斐庄楠音の<畜生塚>の八曲屏風作品の原点と目されるものだ。
寺崎武男「天正使節ヴァチカンへの行列」 制作年不詳 (六曲屏風)

上條陽子「玄黄 回遊池」
 1986(昭和61)年 油彩30号

谷田穎郎「過去の未来につながる声のある風景」
1969(昭和44)年 油彩50号

作者不詳「ラトナの噴水(ベルサイユ宮殿)の部分 制作年不詳 絹本50号
 本展では93年振りに新発見された<戦へる人>のお披露目を兼ね,所蔵の群像作品を一堂に展観するものです。明治時代の温泉場の女人風俗、農漁業に従事する農家の人々、春秋の祭りに集う人々、天正使節のヴァチカンへの行列とヴェニスでの歓迎の祭り、水浴の裸女群像、子供達の遊戯や斉唱の様子、人形たちの福寿祈願群像、竹林七賢人図、相撲場や水泳場の群像、彼岸と此岸を主題にした群像、闘い、鳥の群れなど、本展で用意している群像作品の主題を列記してみました。
 もともと「群像」は多くの人々がそれぞれに生き生きと活躍している姿を指すとして、「青春の群像」とかの使い方もされますが、絵画や彫刻の中で、多くの人物の集合的構成を表現したもので、美術の世界に独特の表現の仕方です。表現は相対的に作品の大きさが必要となるため、当画廊でもあまり展示してきなかった屏風(六曲、四曲、二曲)が6点、油絵も30号以上の絵がほとんどとなります。
 残念なことに画廊の空間という制約があるので、展示替えをしても全作品を一堂に並べることは不可能となります。せめて全貌を紹介できるものとして、展覧会図録には全作品をカラー図版で解説文と共に紹介しています。資料として各作家の経歴も詳しく掲載することにしました。ご利用頂ければ幸いです。
展覧会記念図録:B5版 50頁 頒価 1,000円

    はじめに: 群像─非日常の世界に遊ぶ 星野万美子・・・・・・p.3〜6
    作品図版:                   ・・・・・・p.7〜38
    解  説:              星野 桂三・・・・・・p.7〜38
    作家経歴:                   ・・・・・・p.39〜48
    後  記:              星野 桂三・・・・・・p.49〜50 
      

群像の楽しみ方出品作品リスト
No. 作 者 題  名 制作年 サイズ 画 材
01

作者不詳

「ラトナの噴水」
(ベルサイユ宮殿)

制作年不詳 79.0×118.5 cm 絹本彩色
02 御厨純一 「農耕図」 1916(大正5)年 89.0×115.5 cm 油彩/画布
03 五姓田義 「温泉の図」 松 明治中期頃 60.8×77.0 cm 油彩/画布
04 野長瀬晩花 「戦へる人」 1916(大正5)年 133.3×269.0 cm

紙本墨彩
(6曲屏風)

05 太田喜二郎 「メリーゴーランド」 1913(大正2)年頃 35.0×27.0 cm 油彩/画布
06 北 蓮蔵 「明治大帝御不倒平癒祈願図」 昭和初年頃 60.5×72.8 cm 油彩/画布
07 秦 テルヲ 「遊戯」 1912(明治45)年 109.5×42.0 cm 絹本彩色(軸装)
08 作者不詳 「斉唱」 大正期頃 145.5×56.7 cm 絹本彩色(軸装)
09 岡本大更 「竹林七賢人図」 1937(昭和12)年 175.5×182.8 cm (各)紙本
(2曲屏風1対)
10 奥瀬英三 「漁の後」 1941(昭和16)年 0.3×116.8 cm 油彩/画布
11 黒田重太 「裸女群像」 1931(昭和6)年頃 29.5×29.0 cm 郎油彩/画布
12 田村孝之介 「裸女群像」 1929(昭和4)年 72.8×9.0 cm 油彩/画布
13 寺崎武男 「遣欧少年使節ヴァチカンへの行列」   168.3×377.4 cm 紙にグアッシュ
14 寺崎武男 「ヴェニスの歓迎〜レデントレの祭り」 制作年不詳 168.3×377.4 cm 紙にグアッシュ
15 松村梅叟 「人形の春」 昭和初期頃 169.4×206.0 cm 紙本彩色
16 玉村方久斗 「赫姫天昇群臣騒乱之図」 昭和初期頃 56.6×57.2 cm 絹本彩色
17 三宅凰白 「女相撲」 昭和初期頃 25.7×36.2 cm 紙本彩色
18 箕浦 照 「水泳場」 昭和初期頃 45.5×61.0 cm パステル/紙
19 辻 愛造 「円山夜桜之図」
 

1930(昭和5)年
第5回 国画会展

70.8×91.0 cm 油彩/画布
20 平山 正 「秋」

1927(昭和2)年
第3回 大美展

133.0×188.0 cm 紙本彩色
(4曲屏風)
21 柴原魏象 「太秦牛祭之図」 明治末〜大正初期頃 70.2×94.6 cm 絹本彩色(軸装)
22 杉本哲郎 「春風」 1963(昭和38)年 93.2×54.7 cm 絹本彩色
23 松村梅叟 「人形の春」 昭和初期頃 169.4×206.0 cm 紙本彩色
24 谷出孝子 「丘」 1940(昭和15)年頃 145.4×112.2 cm 油彩/画布
25 有岡一郎 「僧院の歌」

1956(昭和31)年
第8回立軌会展

2.8×100.07 cm 油彩/画布
26 石原 薫 「The Joy」

1956(昭和31)年
第20回新制作展

46.0×76.0 cm 薫紙に油性絵具
27 金田辰弘 「ふくろう」 制作年不詳 72.×60.6 cm 油彩/画布
28 芝田 米 「誕」 1963(昭和38)年頃 90.8×72.7 cm 三油彩/画布
29 谷田穎郎 「過去と未来につながる声のある風景」

1969(昭和44)年
第21回京展

81.0×116.6 cm 油彩/画布
30 上條陽子 「玄黄 回遊池 」

1986(昭和61)年
第2回現代形象展

72.8×91.0 cm 油彩/画布
30 斎藤真成 「めでたき風景」 1970(昭和45)年頃 50.0×60.05cm

油彩/画布

参考図版 甲斐庄楠音 「畜生塚」
 (京都国立近代美術館)

1915(大正4)年頃 194.0×176.0cm  

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