星野画廊【展示のご案内】
現在京都国立近代美術館で開催中の「甲斐荘楠音の全貌」展では、研究者の間ではよく知られていたが一般にはあまり紹介されてこなかった楠音の後半生、東映の時代劇映画のための風俗・衣装考証での功績が顕彰されている。
この機会に星野画廊が長い間秘蔵してきた楠音の素描コレクションを一挙公開することにした。中には素描のジャンルを超越して本画作品と見紛うばかりに完成された作も多く混じる。楠音が描いたのは女性ばかりではない。自身、女になりたかった楠音が遺した素描(といってもその多くは彩色され、独立した完成作としても自立している)には、若い男の肢体が時に艶めかしく、美しく、また時には仏のように神々しい姿で描かれている。描かれた男性像は、これまで知られてきた“女性美を描く楠音”に対する固定観念を打ち砕くことだろう。
楠音芸術の隠れた素顔、そしてその魅力的な世界の全貌がいま明らかになるだろう。是非、ご覧いただきたい。巷間、楠音の代名詞のように伝えられてきた「穢い絵」が偽りであることを示し、楠音芸術が真に美しいものであることを証明する一助になることだろう。
京都国立近代美術館
甲斐荘楠音の全貌―絵画、演劇、映画を越境する個性
会期:2023年2月11日(土) ー 4月9日(日) 月曜休館
![]() 「玄冶店」のポーズで |
![]() 「玄冶店」のために−2 |
![]() 「悪夢」のための習作−2 |
![]() 褌をした男の座像 |
![]() 倣弥勒の青年像−1 |
![]() 手枕の若い男 |
展覧会 DM
『甲斐荘楠音 知られざる名作―官能と素描』
求龍堂 2023年3月刊
全図版 88点 頒価:3,200円